2009年10月28日

タテジマの城島誕生

 というわけで前回の城島日本球界復帰についてやや悲観的に書いてみたら、やっぱり城島は阪神入りすることが決まったようです。

 確かに残念というか勿体ないというか色々思うところはありますが、ま、よくよく考えれば城島獲得なんてほんの一週間前には考えも及んでいなかった編成でしょうから、これで心おきなく今季の反省を活かした、おそらく今季中から構想を練っていたであろう来季へのチーム作りに集中出来るということでしょう。実のところ田上辺りはほっとしているとは思いますが(笑)


【交渉事は神速を尊ぶ】

 さて、今回ホークスの動きが鈍いとか腰が重いとか後手後手であるというファンからの恨み節にも似たフロントの動きについての批判が目立ちましたが、個人的にはホークスが遅いというよりは「阪神が速過ぎた」という印象が強いです。まさに既定路線に近いくらいの超スピード交渉は、おそらく何らかの事前情報があったのではないかと私は思っております。オリックスの監督になった岡田の言葉もなんかソレを匂わすような言質がありましたね。

 普通選手が移籍を前提にしたFA取得宣言をする場合、期日までに宣言するように通達し、そこから日本シリーズ終了と同時に交渉解禁となります(※そうでないと現在まだシーズン中の日ハムと巨人からすれば不公平ですからね)。この間約二週間ほど。その間に資金を用意し、現場監督と編成上の問題を打ち合わせ、本人への意思確認などを行ういわば準備期間になります。

 今回の城島復帰宣言はこれが全く無かったわけで、むしろホークスとしては阪神に後れを取っていた状態でよく王さんが会談して、一週間程度で10数億という巨額資金の承諾を得たもんだとすら思っております。おそらく現場の選手や秋山監督とのチーム編成上の打ち合わせは済んでいない状態だったのではないでしょうか。それくらい、まさに寝耳に水な復帰宣言でした。

【神速の所以は?】

 だからこそ復帰宣言直後に城島に交渉を持ち掛けた阪神のスピード交渉が見事だとも言えるわけですが、裏を返せばある程度の事前情報は得ていたのだろうとも考えます。幾ら阪神サイドに熱意があったとはいえ会長の鶴の一声だけで一日や二日で20数億の資金が動くというのは考えにくいですからね。20数億の資金と言えば国内FA・移籍組の選手や新外国人調達資金で考えれば5,6人は獲得できる資金です。現場的にも優秀な選手一人を取るのと、5人を補強するのとを天秤にかければ相当迷うはずで、それがほぼ即決で城島一人の補強という答えが出せている時点で、入念な事前の受け容れ準備が整っていたということだと思います。

 この時期、CS終了直後でまだ日本シリーズは始まっておらず、CS非進出チームは来季に向けて秋季キャンプを行っている最中です。しかも数日後にはドラフト会議を控えており、FA宣言選手もまだ途中という段階で、よく真弓監督はチームから離れて単身福岡に飛べたもんだと感心しましたが、まあ実際かなりドタバタと動いたのは間違いないとは思いますが、やはりある程度の腹づもりが出来ていたからこそのフットワークでしょう。

 ホークス側は秋山監督からすれば今はまさに動きたくても動けない状態。ましてフロントを無視して個人の判断で城島に独断で会いに行くわけにもいきません。フロントも現場も聞いてないよーな状態で、なんとか王さんが、あくまで個人の会談という形だけでも実現できたというのが正直なところでしょう。

 城島本人が「一番に交渉してくれた熱意と誠意」と評したのは、おそらくこの辺の事前準備も含めてのことだと思うんですよね。今季マリナーズで出場機会が激減したままでオフを迎えるとなった時に、いち早く「ウチでどうですか?」と打診してきた阪神は、まさにそれだけ城島という選手を欲していたことになるわけで、「え?まだ契約残ってたはずなのにいきなり帰ってくるのー?」な対応に終始したホークスとは決定的に差があったはずです。ま、その辺りの強引さに阪神らしさを感じなくはないですが(笑)、それでもやはり「飢えている」と激白した城島からすれば嬉しかったに違いありません。

 と、ここまで述べて、改めて感想を書きますが、まあ状況から考えて出来レースと負け惜しみ的な批判を受けたとしても仕方のない部分は多分にあると思います。それくらい交渉に関しては阪神の独壇場でした。ホークスは、城島の古巣と言うことで獲得に参加せざるを得ない状況がありましから、もしこれが城島で無ければ実質阪神だけの交渉で終始していたことでしょう。というか交渉に関しては実際に阪神オンリーだったわけですが。

 メジャーでの出場機会に関して不満を感じていた超一流選手だからこその交渉プロセスと言う側面もあると思いますし、ある一面に於いては日本的な紳士協定無視の独善的な側面もあったとは思います。それに関しての是非は今後他の選手のケースとも考えての総括ということにはなるでしょうけど、まあ、それくらい派手な凱旋復帰になりましたよということでしょうか。

【城島後の阪神】

 さて、ホークスに関して言えば、多少の振り回された感と大きながっかり感はあったものの、本来の編成・補強・育成路線に戻るというだけのことなのであまり大きな波も起きないわけですが、阪神の方はこれは結構大きな波が起こることになります。

 まず城島の加入は、事実上の矢野のリストラであることは言うまでもありません。当然矢野は矢野でチームに貢献する方法や手段は幾らでもまだまだありますが、スタメン出場で毎試合スコアボードに名前を連ねるという機会は間違いなく0になりました。来季の引退→阪神コーチ就任の流れを予想する人は少なく無いでしょう。

 そして今年出場機会を多く勝ち取った若手捕手の狩野も、今年ほどの出場機会に恵まれることもこれでなくなりました。きれい事を言えば「城島からたくさん学び、いつか実力で城島からマスクを勝ち取って下さい」ということになるわけですが、今回の城島加入経由から考えて、城島の調子が悪い程度では狩野がマスクをかぶることはありません。おそらく打撃絶不調であっても城島はマスクをかぶりつづけることになります。城島のケガによる離脱という、極めて限定的な状況に於いてのみ彼は一軍でマスクをかぶることが出来るわけです。当然現場は彼を代打要員にするか、もしくはコンバートを考えることになるでしょう。狩野にとっては来季が選手生命の大きなターニングポイントになるわけですね。

 城島という超一流の捕手が抜けた後、ホークスは今季の田上の台頭まで長らく「打てる捕手の不在」という最大の弱点を露呈し続けて来ました。先の記事にも述べたように捕手の育成は非常に手間がかかって難しいものです。城島が阪神から抜けるのは少なくとも4年先になるわけですが、その4年後が阪神にとっての、これまでホークスが経験した辛酸時期のスタートになるわけです。

 マスクを常に被り続ける選手を抱えた上で、どうポスト城島を阪神が育成していくか。真弓監督一人の育成手腕には留まらない、阪神という球団そのものが抱える今後一番の課題になるでしょう。城島をメインとして、狩野を特定投手限定のバッテリーとして起用させるか。或いは城島の調子が少しでも悪くなれば、今回の約束を非情に蹴ってでもその時調子の良い選手を起用していくか。これは現場の判断がかなり問われて来るでしょう。

【虎の世代交代、新陳代謝】

 阪神に起きる大きな波はなにも捕手だけの問題ではありません。大きな問題として「いつ、誰が金本を四番から下げることが出来るか」というのがここ数年の大きな問題として存在して来ました。アニキと慕われる金本も、当然ながら永遠に現役選手として活躍し続けることが出来るわけではありません。誰か彼を蹴落とすことの出来る選手が現れて、数年来虎のアニキが守り続けてきた四番の座を実力で奪い取らなくてはチームの世代交代と新陳代謝が鈍ってしまいます。ま、本来ならそれはカープ時代からの弟分・粗い新井の役割だったのですが、まあこれまでの成績からすれば全くもっと無理な話なのはファンとしても認めざるを得ないと思います(笑)

 となると、おそらく今回の城島の加入が、即ちまず「金本を四番から下ろす」第一歩になるでしょうね。そして城島が次の虎の四番になり、金本の打順は5番、6番へと徐々に降格し、数年後には惜しまれつつの引退…となるのではないでしょうか。本来であればそれは阪神生え抜きの四番が担うべき役割ではあるのですが、それが育って来ていない以上はおそらく城島がそのポジションにつくことになると思います。

 この辺のプロセスが「かつての巨人みたいだ」と揶揄される今の阪神の現状なんでしょう。ま、その巨人も松井以降の四番は常に巨人生え抜き以外の選手なんですから言えた義理ではありませんが、日本人独特の反官贔屓なファン気質が実在するのもまた事実であり、今後暫く阪神はこの種の強豪チームが抱えるべき非難に耐えなくてはなりませんが、それだけでなく、同時にこういうチーム事情はそのままチームのカラーにもなり得ます。「強い選手を取るのであれば、強くなった選手もまた出て行くのではないか…」。城島の加入で狩野の心情を心配したファンはこの辺を危惧されたのではないでしょうか。



 あー、長く書きすぎましたね(笑)。やはり生粋のホークスファンである以上、城島の他チーム移籍は寂しさも残念さも感じてしまいます。

 しかし、そんなことくらいで城島を非難したりホークスのファンであることを辞めるなどというのは言語道断。来季の交流戦で古巣との対決を楽しむくらいの愛情を持つのが本当のファンというものですよ。勿論交流戦だけでなく日本シリーズでも!というのが理想ですね、やっぱり。
posted by talk at 00:33| Comment(0) | 野球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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