2011年03月30日

PSP版burst記13

 ハッキングシーン前後で随分文章を費やした12月7日もようやく終わり、やっとこさ8日目に突入することが出来ました。今回はその12月8日の前半、小次郎がディーブに捕まるまでのシーンをレビューして参ります。既に変更点だらけでレビュー当初の「原作との相違点だけに触れていく」なんて趣旨はすっ飛んでおりまして、ストーリー展開をそのまま触れていくレビューになってしまいましたので、重ねてネタバレが苦手な御方はご注意してお読み下さい。

 原作では12月6日の大使館突入後に相当するシーン。大使館から逃げ出したプリンとの再会を果たした小次郎は、プリンが仕える「さる高貴な御方」との接触を試みます。そして何とプリン自身がその王族・プリシアであることが発覚。事件の全貌が見えかけたその時、小次郎とプリシアはディーブ配下の襲撃を受けてしまいます。プリシアを逃がすことには成功したものの、奮闘虚しく小次郎はディーブに捕らわれてしまうのでした…というのが原作のシーンになりますね。

 PSP版ではこの辺りの展開が既に別作品クラスに変更されていますので、今回はその変更点をじっくり見てみることに致しましょう。

110330_01.jpg

※ネタバレ注意!苦手な御方は注意してお読み下さい。

【小次郎編 12月8日_ディーブに捕まるまで】

・事務所に伊吹が来訪しネルが死亡したことを知らされる。プリンを連れて署に。

・署の安置室で死体となったネルと対面し、泣き崩れるプリン。手足を銃で撃ち抜かれたネルは捕まって暴行・尋問されるくらいならと自決した模様。ちなみにネルのポケットに事務所の鍵が入っていたので伊吹が小次郎に問い質しに来たという流れ。小次郎は犯人ではないと科研の調べで分かっているが、どの事件の糸を辿っても小次郎が出てくるという事態に心配する伊吹。

・妹のような存在であったネルの死に涙を流した後、プリンはネルのような不幸な人物をこれ以上出さないためにエルディアの王になる決意を小次郎に語る。


 プリン自体が既に別人同然の変更を為されていますので相違点どうこうを探すのも難しいのですが、これまで王位継承問題を自身に降りかかる厄介事として避け続けて来たプリンが、ネルの死と彼女が守ろうとしていたものに気付いて王位に就くことを決心するシーンになりますね。

110330_02.jpg

 これまで何度か書いていますが、PSP版新キャラのネルは原作に於けるプリン人格を別キャラに仕立て上げた感じの位置付け。原作のプリン人格は自分の仕えている人物を尊敬以上の想いを込めて心酔しているような口調で語りました。暗示にかけられた状態だったとは言えプリン人格はプリシアの持つ一面の表出でもあったらしく、この時の言動もプリシアはちゃんと記憶していると語られています。プリンの天真爛漫に振る舞う姿は王族という身分から脱したいというプリシアの願望の一端であったと思われますが、だとすればこのプリン人格の抱く尊敬の念というのは、プリシア自身の持つ責任感や義務感、いわゆるロイヤル・デューティーへの誇りみたいなものの裏返しなのかもしれません。

 そういう想いを別キャラであるネルに託したPSP版ですが、誰あろうプリン自身がその責務の重さから目を逸らせ続けて来ており、プリンに仕える身であるネルがプリンに王族としての誇りを取り戻して欲しいと願うという構図である以上、このネルの死というのは避けられない流れなのでしょう。ネル好きの御方はさぞ落胆されることと思いますが…って、いるのかな、そういう人(笑)

 ネルの壮絶な死によって初めてプリンは自分を王として信じてくれる人の想いを受け止め、王族としての誇りとそれを受け容れる決意が芽生える…ベタっちゃあベタな展開ですが、シーンとしては非常に綺麗にまとまっていますし、これまでむかつくワガママ女だったPSP版プリンが生まれ変わる瞬間=物語の終盤を感じさせる瞬間という、非常に重要なシーンとも言えます。

・クライアントであるネルの死亡により小次郎の依頼は解除状態。王になることを決意したプリシアにはエルディアに帰ってからの戦いがあるだろうということでここでお別れ…のはずだが、やはりプリンを一人にすることは出来ず彼女を守ることを小次郎は約束する。

 というわけで、健気に決意する少女を目の前にして手を差し伸べないのは男じゃないぜ!という小次郎カッコイイー!のシーン。しかし「小次郎が居なくなったら私は独りですわ…チラ」みたいなプリンの態度があってちょっとシーン的には微妙(笑)。

110330_03.jpg

・しかし、現実的な問題として王位に就くには青の宝剣と緑の宝剣が必要とのこと。青の宝剣は現在所有者不明(※多分御堂かな)。その宝剣の宝玉はディーブの手中に。緑の宝剣は、在処を知っている人物がプリシアを匿っていたとのこと。その人物はプリシアが幼い頃から知っている信頼できる人物らしい。=源三郎?

・緑の宝剣の在処を手紙にしてプリシアに託していた。それを開くことを拒んでいたプリシアだったが、王になることを決意した今、それを開くことに。

「先達が神の軍団を率い、終末の軍団と戦うために立ち上がる
 彼は聖なる鍵にて罪深き魂を解放し、果てしない責め苦と混乱から救い出す
 鍵は絶え間ない恵みと不可視の盾で守られ、いかなる高みからも悪魔や悪竜はそれを見つけることは出来ない」

 意味深な四行詩について考えてもラチがあかないので、資料を読むために桂木探偵事務所に向かう。


 原作に於ける王位継承のキーアイテムは国璽。孔が在処を隠したり、それを探すためにディーブが孔を騙ったり、挙げ句にはその価値を知らない茜が所有していたりと紆余曲折はありましたが、最終的には御堂派が手中に収めることになります。もっとも、王位継承の際になって真弥子がプリシアに譲り渡すという大誤算はありましたが。

 PSP版では青と緑の二振りの宝剣に変更されており、しかも青の宝剣の方は更に宝剣部分と宝玉部分とに切り離されています。序盤、鰹節の中から発見するというアレですね(笑)。原作に於ける原版の争奪戦が、PSP版の青宝剣と青宝玉との争奪戦に当たるということなんでしょう。しかし原作との大きな違いは、もう一つの緑の宝剣が未だ見つかっていないという点。しかも信頼出来る人物からヒントまで教えて貰っているというアドバンテージ付きという状況でして、プリンが王位継承に活路を見い出している根拠にもなっています。

 その為、この不利な状況下からプリンが逆転トライを決めるべくアクションを起こすぞ!という展開になるのがPSP版の特徴。これはアクアらとの合意はともかくとして、王位継承の絶対条件である国璽に関しては全く後れを取っていた原作との大きな違いでもあります。しかしそう簡単に在処を知らせては外部に漏れる危険性があると考えたのか、何やら謎めいた四行詩を伝えるという手法を取っており、プリンの決意が本物かどうかを試されているかのような状況を作り出していますね。また、原作では国璽に纏わる不気味な言葉、或いはプリシア暗示解除のきっかけにもなるオアシスの詩など、こういった意味深なセンテンスが所々登場していたのも特徴でしたが、PSP版ではようやくここに来てそれが登場という趣もあります。それにしてもこの詩の内容はちょっと大仰過ぎるかなー?というイメージではありますが(笑)

 ちなみに国璽が宝剣に変更されている理由はラストシーン付近で明らかになりますが、ナイフというわざとらしいアイテムを使って状況を攪乱させていた原作の「テラー」のエピソードの一端をここに流用しているような雰囲気ですね。もひとつちなみにこの「テラー」についてもPSP版ならではの変更が為されていますが、これがちょっとがっかりな仕様。こういった代替案が原作の良さを薄めてしまうというPSP版の残念さを象徴しているような気はします。

・弥生は留守中。事務所でアキと会話。たまたままりなが図書館で借りていた『エルディア』という本を目にする。本には豪華客船V.S号の写真が。ヴォーチェ・セラフィコ。イタリア語で熾天使の声という意味であることを知った小次郎は神の軍団を率いる”神の先達”が熾天使を差していると閃き、宝剣の在処がV.S号にあると確信。プリンと共にV.S号に向かう。

 四行詩の謎を推理して宝剣に、そしてエルディアの王位に近付く…というシーンではありますが、わざわざこのシーンの為にまりな編で『エルディア』という本の返却に関して不自然な行動を取らせたりして、わざとらしく配置した感が見え見えなのでちょっと萎えるシーンでもあります。しかも轟警部よろしく「よし!わかった!」とばかりに確信するという流れは流石に唐突過ぎで笑えます…いや、笑えないですけど(笑)

・貨物コンテナに紛れてプリンと共にV.S号に侵入。といっても宝剣の在処が分からないので二手に分かれて宝剣探し。ちなみにプリンは「絶え間ない恵み」を船内カジノと予想してそちらを探すことに。

・船員の話を盗み聞きし、局長ディーブと大使御堂の仲がこじれていることを知る。原作の局長と副局長という設定から変更。


 細かい点ではありますがエルディアを巡る状況の変更としては結構大きいので抜粋。原作の情報部はこの時点で既に民主化政策の一環で解体されており、御堂、ディーブ配下でそれぞれ動いていたのは「旧情報部の残党」という扱いでした。その実態についての決定的な描写はありませんでしたが、大使として、そして計画成功の暁には新国王の養父として政権の中枢に居続けるであろう御堂派に対し、ディーブ派はかなり不利な状況にあったのではないかと推測します。このまま御堂の計画が実現すれば、おそらくディーブと彼の配下は責任を押しつけられて&口封じの為に粛正されるであろうことは容易に想像が出来ますし、その危機感がディーブを動かし、そして配下らもディーブ派としての旗色を明らかにさせたのではないか…というところでしょうか。

 この対立構図はPSP版でもそれほど変わらずに持ち込まれていますが、ディーブが「局長」として公安部を率いている点がポイント。つまり公安部は解体されずに現存しており、エルディアに於ける二派の対立構図がそのまま日本に持ち込まれているという状況なんですよね。後にモブキャラで御堂配下とディーブ配下がちょろちょろと登場しますが、そのセリフは結構顕著に差別化されてまして、即ちPSP版に於ける御堂とディーブの行動理由のはっきりとした違いとしても出て来ます。

 …と書くとちょっと細かいところまで言及し過ぎという感じが自分でもしますが、個人的には原作の「旧情報部の残党を率いている」という設定の響きの方がディーブのアングラなポジションと彼の残忍なキャラに合っていたような気がしますね。

・プリンと落ち合い、喉が渇いたプリンがプールの水をごくごく飲むところで、V.S号には優れた浄水施設が整っていることを聞く。「絶え間ない恵み」がパーティーホールの噴水であると推理し、噴水内に手を入れると透明なガラスケース(=不可視の盾)に隠されていた緑の宝剣を発見。

 ま、結局さほど苦労せずに宝剣を手に入れましたよということになっちゃうのが拍子抜けな点ではありますが、何はともあれこれで王位継承アイテムの一つを入手し、プリンの決意はかなり現実味を帯びて参りました。

・追っ手を振り切ってV.S号から脱出。事務所に戻る。プリンから宝剣を別々の人間が持っていた場合の即位の決定方法を聞く。13からなる文言をより正確に、威厳を以て唱えられるかどうかを13人の部族長が判断して決定するとのこと。ちなみにプリンは13ある王族の一人なのでその1/13の文言は知っているが、他は知らないので戴冠式までの他の王族から残り12の文言を聞く必要がでてきたかも…という説明。

 極論すれば「国璽さえ持っていればそこら辺の浮浪者でも国王になれる」という原作からの変更点。原作では、それこそが国璽に纏わる血塗れの歴史の所以でもある…という流れになるわけですが、PSP版は前国王の抱く猜疑心や憎しみは他部族から受けた裏切りに起因するということにしていますし、アクアや青海慎吾ら他の王位継承者が登場したりもしていますので、その辺りの世界観の一端としてこの13の文言という設定も出して来たのかもしれません。しかしキーアイテムの国璽や宝剣に比べると割とどうでも良い保険的なパスワードという印象で、しかも結局ラスト付近で「過去の文献を読み解いたり、他部族から聞き出したりしてきました」とさらっとクリアされてしまいます。どうもあんまり重みのある設定という感じではないのですが、王位継承の際に定められた文言を高らかに宣言するという絵が欲しかったのかな?

・事務所に戻ると黒服連中が襲撃。プリンを逃がしながら黒服連中と戦う小次郎。一旦は黒服連中を撃退するも、数十人の追っ手を確認してプリンだけを逃がすことを決意。逃げる先は桂木探偵事務所を指示。別れ際に小次郎にキスするシーンは踏襲。小次郎は空き倉庫に逃げ込んで抗戦するも、奮闘虚しく催涙ガスで気を失って捕まってしまう。

・目を覚ますとロープに縛られて吊らされている状態。目の前にはディーブと、その横に侍る二人の女性の姿が。


 前後の展開は大きく変わりましたが、ディーブ配下とやりあって捕まってしまう流れはほぼ同じ。しかしまさかこの「桂木探偵事務所に逃げろ!」という小次郎の言葉が後に信じられない展開を呼び込むことになろうとは…!この後の驚愕の展開を、原作プレイ経験者の一体何人が予想出来たでしょうか…

 というわけで、ここがサイトチェンジ箇所となりますので一端レビューもここで区切りますね。ディーブ配下に捕まり絶体絶命の小次郎。それを助けに来た人物は何と……!!驚愕の展開は次の次のレビューまでお待ち下さいませ。

 次回のレビューは【12月8日のまりな編、ディーブのアジトに侵入するまで】になります。査問があったりストリップがあったりして香川美純オンステージな内容なのは御存知の通り。全国の香川ファンの御方は必見ですよ!
posted by talk at 03:50| Comment(2) | 【PSP】burst error EVE the 1st | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この後の展開・・・本当に驚愕でした・・・
俺の中では1stでNo.1の衝撃でした・・・
レビュー楽しみに待っています(笑)
Posted by akira at 2011年03月30日 11:43
>akira様

 私も全く同じですよ。多分アレがPSP版burstのナンバーワンの衝撃シーンだと思います。おそらく意図としては単純に「持ってきてみた」だけだと思うんですけど、その後の展開も勿論gdgdだし、何より地味ながらこの後のEVEの世界観を根底から掻き回しているということに気付いてるんでしょうか。

 ちなみに私がそのシーンに直面した時に口から出た言葉は「頼むわー…」でした(笑)
Posted by talk(管理人) at 2011年03月30日 23:38
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]