2011年04月13日

PSP版burst記14

 今回のレビューはまりな編の12月8日前半。小次郎編との対比で「ディーブのアジト侵入前」としていますが、ここでの一番の山場は香川美純による内務監査のシーンとなります。

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 これまでまりなは自身の判断に基づいて常に最善と思われる行動を取ってきましたが、真弥子への襲撃を完全に回避することが出来なかったのもまた事実。果たしてそのまりなの判断は正しかったと言えるのか。誰かに情報を漏らしたりはしていなかったのか。真弥子の周囲に関わる人物の中で挙動の怪しい人物はいなかったのか。それぞれの思惑とは一体何処にあるのか…等々。全力で真弥子の命を守ることだけを考えていたまりなにとっては、ことこういう事態に至って初めて個々の事件だけでなく、一連の騒動の全容を見つめ直す機会となる時間でもあります。そうして事件の全貌が徐々に見え始めた矢先に事態は動き出すことに…という流れになりますね。

 PSP版でもこの辺の流れはあまり変わっていませんが、そこに至るまでの経緯は前後の展開を受けてかなり変わっていますので触れていくことに致します。

※ネタバレ注意!苦手な御方は注意してお読み下さい。


【12月8日 まりな編_ディーブのアジト侵入前】

・目を覚まして本部長から報告を受ける。一つはまりながホテルで発見した死体が、弥生の事務所の所員・二階堂であるということ。この時孔の殺害容疑も二階堂にかけられていたため所轄刑事がまりなにあまり居て欲しくなかったのではと推測。死因は首を切られたことによる失血死。

 原作と異なる点は所轄警察との関係について触れられている点ですがこれは後の内務監査で多少出てきます。でも本当に「多少」なのであまり特筆するようなことではないんですけどね。警視クラスの捜査権限が与えられていた原作と異なり、PSP版では警察と内調の縄張りの違いへの言及が多々あります。本部長の決断やフットワークに鈍さを感じるのもこの辺の構図を取り入れているからというのはあるのかもしれませんね。

・もう一つは御堂から真弥子護衛任務以来の取り消しを通達されたということ。理由は昨晩真弥子が語った王位継承問題だが、この会話を自動的にモニターされていたために上層部の知るところとなった。

 原作では昨夜の真弥子との会話が自動的にモニタリングされてしまい、やむなく事情が上層部に知られてしまうというニュアンスでしたが、PSP版ではどうも事の重大さを持て余した甲野が上層部に判断を丸投げした結果という側面がより強まっています。PSP版ではただでさえ切れ者らしい部分がほとんど言及されていない本部長ですが、今回のコレは更に株を下げてしまう発言となってしまいました。とほほ。

・そして査問会を受けることが通達される。査問内容は不正アクセスの件と真弥子護衛の不手際について。

 原作と展開順が前後する不正アクセスの件も査問の対象になっているのが特徴ですが、この直後に査問とはならずにこの間の空き時間で移動するのもPSP版の変更点。別にそこでの展開で何か大きなイベントが起こるわけでも無いのですが、どうにも査問会というシーンへの緊張感が薄れてしまっているような効果くらいしか感じられないのが残念です。あの香川さんなら有無も言わせずにズバズバと査問会に突入するでしょうし、そのことに不満を言おうものなら「貴女は査問を受ける身であることを忘れずに!」と釘でも刺すくらいの勢いがあると思うのですが…まあ、何はともあれまりなは査問会が始まるまので午前中はのんびりとお散歩することになります…って、こう書くとやっぱり緊迫感には欠けますねえ。

・査問会までの時間を利用してV.S号に移った御堂と真弥子に会いに行くも、にべもなく追い返される。

 「私は常に最善を尽くして来たんだから、デスクワークの内務監査が何か抜かしてこようが知ったこっちゃねえぜ!」的な自信とプライドを垣間見るような原作のまりなとは異なり、どうもこの時のまりなの行動そのものが自己弁護に走っているような印象を受けてしまうのですが、その会話内容も「真弥子護衛の不手際を査問会で責められようとしているので何とかなるよう便宜をはかってくれ」的なものまで匂わせるようなものがあったりして、とてもまりなの口から発せられたとは思えないくらい情けないもの。地味ながらも実はかなり個人的に大嫌いな変更点だったりもします。

 しかも御堂との会話を要約すると、

「真弥子を危険な目に遭わせてしまったことは認めるけど、こっちだって頑張ったんだもん!」
「アホ抜かせ。護衛するなら危険な目に遭わせないようにするのが一番だろうが!」
「でも、情報筒抜けみたいだし、誰か裏切っているかもしれないし…」
「自分の能力不足を棚に上げた上に、また我々に責任のなすりつけかい!」

 と、何とも情けなく正論で論破されて終了の図。平時のやり取りの中から糸口を引き出そうとする原作の格好良さは皆無なのは言うに及ばず。改めて問い直したいんですけど、PSP版のシナリオさんはまりなの「一級捜査官」と「諜報員であり情報官」という設定をどこまで咀嚼して法条まりなというキャラを再構築させているのでしょうか。

 ここまでの展開を見てみても、確かに起きている事件そのものに原作との大きな差異は無いのですが、その時々のまりなの言動はかなりお粗末なものばかりで、以前も書きましたがやはり「感情で動く女刑事」くらいのレベルでしか無いんですよね。「ぎゃーぎゃー喚きながら事に当たる」と「全力で任務を遂行する」こととはイコールではありませんし、「真弥子に感情を押しつける」ことが「真弥子との距離を縮める」わけではありません。真弥子がまりなを信頼し、心を開くようになっていくのは、酒盛りをしたり銃撃戦を切り抜けたりという特別なイベントの結果だからでは決して無いのだという点をはき違えて貰っては困ります。

 まさか流石にそれはないだろ…と思いたいのですが、どうもここまでの内容を鑑みるに、もうそうとしか思えないくらい、或いは故意にそうしているのではないのかと思うくらい、まりな編での数々の重要なセリフをばっさばっさとカットして来ています。インシュリンを麻薬と勘違いしてたたき落とすシーンも無し。屋上で寝転びながらお弁当を食べるシーンもただの昼食シーンになりさがってますし、「笑う門には福来たる」というサウナでのあの重要なやり取りも見事にカット。ここまで真弥子とまりなのやり取りを無くしておきながら、源三郎とまりなに関してはちゃっかりいちゃつくという展開になってしまうので、まりながただの節操のないビッチさんにしかなっていないという噴飯モノの展開がこの後にやってくるわけですよ。シナリオさんには、申し訳ないですが小一時間の説教コースをくれてやりたい気分です。勿論氷室に至っては一時間や二時間で済むと思うなよ!レベルの説教をしてあげたいですけど(笑)

・二階堂の件を心配して桂木探偵事務所を訪れるも弥生は不在。図書館で借りていた『エルディア』という本を返して欲しいと弥生に告げて退出。査問次第では遠くにとばされるかもしれないからという理由から。

 V.S号に赴いて御堂と対面してもこれといった手応えの無いまま、今度は桂木探偵事務所に謎の理由での謎の来訪。いや、自分で借りたんだから自分で返しなさいよ?と社会人としての常識からこのPSP版のまりなには教えてあげないといけないのかと思うともう涙が出て来ます。後に弥生との会話で「今回の事件の結果次第で自分は遠くに左遷されるかもしれないから」という覚悟と状況を、この「借りていた本を弥生に返して貰う」というシチュエーションに託していたというやり取りが出て来ますが、

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 いやそのりくつはおかしい。

 …ま、シーン的には小次郎編での四行詩解読の為の布石という感じですが、ちょっと強引なシーンのねじ込みでご都合主義な感じは拭えませんね。

・午後、オフィスに戻って査問開始。ちなみに香川の所属が公安の内務監査部から内調の監査部に変更。

 これも細かい点なのですが香川の所属が内調の監査部になっていますね。ということは広義に於いてはまりなや本部長の同僚ということになります。原作ではまりなや本部長は内閣情報調査室という内閣直属の諜報組織に属しており、警視庁公安部の内務監査である香川は全く別組織の人間なんですよね。まりなは今回の護衛任務の性質上一時的に公安の指揮下に入るという形を取っていますが、大使からの正式な要請があった以上はまりなへの査問を執り行う必要があります。そこで個人的に甲野とのパイプがある香川がその任に当たっている…というのがこの時点での状況になります。

 香川のネチネチした監査に腹を立てるまりなに対して本部長が「香川くんも敢えて憎まれ役を買って出ている」というニュアンスの発言をしますが、背景としては上のようなものがありますので、なあなあで済ませるわけにもいかず…という内調と公安の微妙な関係をほのめかすような感じもありますね。ま、公安としても内調に好き勝手させるのを黙認しているわけでもありませんので、大仰ながら牽制の意味を込めての査問という側面もあったでしょうし、勿論香川のまりなに対する個人的な感情もあったでしょうから、香川は香川で大義名分を武器にまりなをイジめる機会を得て舌なめずりをしているというのも事実だとは思いますが(笑)

 後にZEROに於いて内調の前身が公安のワンセクションであったという設定も付加されているくらいですから、あからさまな内調と公安の対立構造という感じではなさそうですね。本部長と香川の愛人関係というのもおそらくは香川が公安出身の甲野とのパイプ役を担っているという側面込みでの関係だとは思いますので、そこまで考えると香川のこの時点での立ち位置というのも結構複雑なものがありそうです。

 ところが香川が内調の監査部という設定になった以上はこの辺りもばっさりとカット。しかも分室の一つとはいえ内調の情報官と同組織の監査部の人間が不倫関係にあるというのはあまり褒められたことではないような気も…って、これは原作でもそんなに変わってないですか(笑)。何にせよまりなからすれば自身の不手際を敢えて掘り起こして責められること以上に、香川の個人的な情念に付き合ってられるか!という感情的な部分もありますから、ご愁傷様としか言いようがないです。まあ、そこが香川の可愛らしさでもあるわけですが。

・査問の中身自体はほぼ同じ。原作と違うのはここで不正アクセスの件と、工作員と見られる雪乃に情報を漏らした点を詰問されること。

 原作との展開が異なっている以上査問の内容もそれに準じて異なってはいますがシーンの基本的な流れはほぼ同じですね。原作では源三郎への情報提供に疑問を投げかけられることで彼への疑惑が初めて生じるポイントにもなるわけですがPSP版ではカット。代わりに既にこの時点で「どこかの諜報員」として存在が怪しまれている雪乃への情報提供の不手際を詰問されます。

 敵か味方か分からない怪しい人物に情報提供をしているという点を責められるのであれば現場の判断としての反論が出来ますが(※事実源三郎はシリアを銃撃して真弥子を救ったりもしているので)、既に真弥子を害しようとしていたことが明らかな雪乃へ情報提供をしていたというのは、理由はどうあれ結果的には大チョンボ。PSP版まりなは「あの時点では校医である雪乃の正体なんかわかるはずがない」という反論をしますが、原作では同校教師のシリアや松乃にそこまでペラペラと話しているわけではないですし、結果を重視する世界では虚しい言い訳にしかなっておらず、またしてもまりなの株がストップ安状態にまで下降していきます。

・お待ちかねの香川のストリップシーンも流れはほぼ同じ。本部長に感謝しながら次なる行動へ。

 原作では小次郎&氷室のハッキングとまりなの不正アクセスがここに重なるので、それを見つけた香川がやって来て…という流れになりますが、PSP版ではそのまま本部長と示し合わせての脱出という感じになりますね。残念ながら特筆するほどの変更点は無いのでスルーしますが、香川美純の晴れ舞台であるというシーンに変わりありませんので香川好きの皆様は是非堪能なさって下さい(笑) 

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 ちなみに原作にあった「シルクなんて高級な下着をつけやがって…そういうお高いところが嫌いなのよ!」とまりなが個人的に口撃するやり取りが面白くて大好きなのですが、残念ながらその辺はカットされてます。PSP版もシルクでいいじゃない。ねえ?

・弥生から電話。しかし戴冠式まで身を潜める場所がないということで弥生の勧めで小次郎を頼ることに。

 原作ではこの時弥生の事務所で先程の不正アクセスの内容を検証するシーンになりますが、これより前の段階で弥生とは図書室でエルディアについて語っていますし、先程本を返すシーンが挟まれたことなどもあってPSP版では弥生の事務所には赴きません。

・小次郎を待ちながら時間を潰すも小次郎は戻らず。仕方なく夜の街に戻ると二階堂の殺害に関わっていそうなメガネの女性(=茜)を発見。例のデブによって連れ去られてしまい、後を追い掛けることに。

 原作の小次郎編ではこの時ハッキングの後に氷室と大使館に突入し、その直後にはプリシアが目覚めたりディーブに捕まったりとかなり慌ただしくシーンが展開していきますが、まりなはこの時身を隠している状態でもありますので何処かで時間が過ぎるのを待つ必要が出て来ます。原作ではそれが桂木探偵事務所だったのですが、PSP版では小次郎の事務所に(勝手に)お邪魔して小次郎を待つうちに時間が過ぎてしまう…という流れになりますね。そんなわけでかなり唐突に夜のシーンへと移行するわけですが、その印象はこの時弥生と話し合っている原作と比べるとやはり強くなっています。確かに今は身動きが取れない状況だとは思いますが、「それにしてももう少し動けるだろー?」という印象。また、ハッキング結果をプリントしたヤツを見つけて、あの不正アクセスの凄腕の相手が小次郎だと気付くシーンがありますが、PSP版では氷室のノートパソになっていますのでこれもカットされています。

 ディーブと茜の後を追うシーンは原作とほぼ同じなので割愛。

***ここで唐突に伊吹がいる所轄所のシーンに***

・伊吹に甲野から電話。何やら内調から急な要請があった様子。そこに小次郎の身を案じるプリシアが駆けつけ、伊吹の助けを求める。


 またしてもいきなりの場面転換で今度は所轄刑事の伊吹にスポットが当たります。実はこの時の甲野の申し出というというのは、査問の結果で一時的とは言え資格を剥奪されたまりなが捜査しやすいように環境を整えてあげるための申し出。まりなを所轄刑事の管轄下に置いて捜査活動を保障してあげる為に甲野が手を回しているシーンになります。後にこれがV.S客船上でのまりなの捜査活動の理由になるわけですが、原作に於けるトリスタン客船上でのまりなのポジションとはかなり違って来るのが大きな特徴。これについてはまた後のレビューで触れてみましょう。 
 
 ちなみにここで挿入されるシーンですが、伊吹の一人称視点文章は用意されておらず、状況描写の文章が唐突に渋い声(※多分PSP版御堂の声優)で読み上げられるというかなりイビツなシーンになっちゃってます。物語のテンポが損なわれているようにしか感じられませんし、ここでの内容を無理に描写しなくても後で状況を説明させておけばそれで済む程度の中身だったりするのでちょいと意味不明。そこまでして伊吹のおっさんにスポットを当てたかったのでしょうか…?

・デブの乗った車を追い掛けて人気のない埠頭の倉庫に辿り着く。ここで源三郎と偶然出会う流れはほぼ同じ。

 再びまりな編へと切り替わってディーブのアジトに辿り着きます。ここで源三郎と出会う流れは大体同じで、訝しさを感じながらも源三郎を信用するまりなは現状の疑問を源三郎に告げて協力体制を確認します。まだこの時点では持って回ったような言い方に終始してごまかそうとする原作に比べると、PSP版の源三郎はまりなに真相を見せましょう的な印象ですね。



 次回のレビューは【12月8日の小次郎編、ディーブのアジト脱出から】になります。絶体絶命の小次郎を助ける為にアジトに到着したのは何と…!驚愕の新展開を是非お楽しみに。
posted by talk at 16:19| Comment(0) | 【PSP】burst error EVE the 1st | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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