2011年06月11日

PSP版burst記16

 今回のレビューはまりな編、ディーブのアジト突入後になります。

 未だ数々の疑惑や疑念を残しながらも、自分の心の奥にある源三郎への信頼と共感を信じて共に行動することを決意するまりな。そしてディーブのアジトに侵入して中の様子を窺うと、そこには彼らに捕らわれて窮地に陥っている小次郎の姿が。しかも源三郎は何やら小次郎のことを見知っている様子。まりなと源三郎はこの状況下でどう動くのか。そしてその先には二人の運命的な出逢いの夜が待っているのでした…

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 原作ではこういう感じのシーンになりますね。PSP版でも大筋は同じ展開になりますが、ディーブの役割が変更されていることに伴ってこの後の展開も変更されることになります。今回はその辺りに触れながらレビューすることに致しましょう。

※ネタバレ注意!苦手な御方は注意してお読み下さい。


【まりな編 12月8日_ディーブのアジト突入後】

・アジトの様子を窺うと小次郎が捕まっている。
・中の様子を窺う二人にシリアが声をかけてくる。原作のようなディーブ配下でのダブルスパイ設定は無く、この時のシリアは完全に源三郎の部下として状況の打破に動いている様子。ちなみにシリアは源三郎のことを「隊長」と呼ぶ。


 細かいことは前回の小次郎編で書いていますので割愛。原作ではかなり終盤になってようやくシリアの立ち位置=ダブルスパイ設定が明らかになりますし、まりな編の夜の学校で源三郎がシリアを撃ったりというシーンがあるように、元々はその複雑な設定自体が「テラー」へのミスリード役を担っていたわけですが、PSP版ではその必要性がストーリーから省かれていることも関係しているのか割とあっさりとシリアのポジションが説明されます。源三郎を「隊長」と呼んでいるあたりが特に分かりやすいですね。

 それに伴ってシリアの源三郎への接し方や口調も微妙に変化。原作では「あんなのが父親だなんて思いたくもない」と言葉では言いながらもファザコンまるだしの言動を取ったりという感じでしたが(※勿論任務に関しては冷徹に遂行していますけど)、PSP版では任務と大義を前にして源三郎との親子の関係と情愛を押し殺しているような印象を受けます。この辺はクリア後の源三郎編で多く語られているのでそちらでまた触れることに致しましょう。

・グレンが射殺されるシーン等は同じ流れ。上からそれを窺う源三郎はグレンに裏切られた小次郎に対して「ああいう悪党は上手に使いこなさなければ」と述懐。

 PSP版源三郎は小次郎や二階堂、茜、グレン、弥生と自分に関わる人物を前にして割と直截に想いを口にしていまして、真横にいるまりなに配慮してもごもごと言葉を濁していた原作とは描かれ方が変更されています。「源三郎が弥生の父親である」という事実は、後の小次郎編での埠頭での再会、まりな編でのマンションでの身体を重ねるシーンなどで発覚するわけですが、それ以前でのこうした描写があるからか、原作よりはその事実が発覚した時の衝撃とか驚きという点ではちょっと弱まっているような気はしますね。ま、勿論私がもう何回もこの作品をプレイしているからというのが一番にあるわけですけども(笑)

・茜が二階堂のことを小次郎に知らせるシーンにて、源三郎は二階堂に対して「エルディアに関わらないように強く止めていれば…」と強く後悔するような描写あり。

 細かいですが原作にはない、二階堂に言及するセリフ。恐らくこれはクリア後に追加されている二階堂編への前フリ的な意味合いが強いと思われます。青海慎吾という新キャラの追加によって二階堂のエルディア王位継承争いへの深入り具合は原作よりもかなり強くなっていますので、その辺の事情を知った上での、源三郎の教え子に対する悔恨から出た言葉というところでしょうか。これも詳しくは後の二階堂編の所で触れていきますね。

 上にも書いていますがこのシーンは小次郎に始まりグレンに茜、そしてこの時点で既に殺害されている二階堂と、源三郎の知っている人物が軒並みエルディア王位継承事件に巻き込まれていることを源三郎が思い知らされるという側面もあります。その中でもグレンと二階堂は己の力量を見誤った結果とは言え、源三郎の引き起こしたC計画に巻き込まれて殺されたも同然であり、PSP版のように思わず悔恨の念が言葉になってしまうというのも無理からぬ所でしょう。そんなPSP版源三郎にトドメを刺すように姿を現すのが…

・弥生登場!しかし弥生のポンコツぶりにまりなも源三郎も頭を抱えちゃう。弥生の探偵としての実力に関してはやはり相当評価が低い模様。
・弥生がぺらぺらと口を滑らせた結果、ディーブは小次郎から聞き出そうとした情報を全て知ることが出来た。つまり小次郎が生かしておく理由がなくなった…という最悪の結果に、源三郎は「私は、どこで間違ったのだろう…」とがっくり。「昔はあんな娘ではなかったのに」と、割と直截に娘を心配するセリフが出て来ている。


 最愛の愛娘にしてポンコツ探偵・弥生、颯爽と登場!流石の源三郎もこれは相当堪えたみたいです。

 原作には無いシーンなので補足しますと、源三郎とまりなが弥生のポンコツぶりに頭を抱える理由としては、詳しい事情を知らされていないとは言え小次郎が置かれている現状をじゅうぶんに把握しないままに無謀にもディーブの前に姿を現した点。そして外国軍部の旧情報部残党という、法や正義といった「正しい理屈」が通用しない相手を前にして、それとわからずに「正しい言葉」を以て対抗しようとした点でしょう。

 この状況に於いてPSP版ディーブが知りたがっているのは宝剣の所在よりもプリシアの居場所。御堂側が真弥子即位の準備を整えてV.S号の出航を目前に控えている今、このようにして小次郎を拷問にかけているというのはむしろディーブの焦りの表れとも言えます。勿論プリシアを擁立しただけでは不十分で、彼女を即位させる為に宝剣や13の文言といった条件をクリアしなくてはなりませんが、対抗馬を悉く排除した今となってはそれも不可欠な条件というほどでもありません。事態は既に御堂派とディーブ派の、来るべき次期政権内の覇権争いにまで発展しており、しかもそれを確立させるためには相手を排除する必要もあるわけです。

 つまるところ擁立する人物の正統性は既に問題ではなく「やらなければやられる」という状況と思考に陥っているのが今のディーブ。世論までも考慮して着々と真弥子の継承権の正統性と正当性を作り上げてきた御堂の計画に較べるとかなり強引なのは言うまでもありませんが、とにかくも他を殺しまくって二者択一の状況にまでは漕ぎ着けたわけです。しかしそれも擁立すべきプリシアが居ないのでは水の泡。どのみち擁立に失敗すれば王族関係者を殺害した罪などを理由に粛正されるのは目に見えていますから、是が非でもプリシアを手中に収めなければいけません。この時点での小次郎がそこまで事態を読んでいたとは思えませんが、彼の性格からして死んでもプリシアの居場所を教えないというのは源三郎も承知しており、こうして時間を稼いでくれれば源三郎の憂慮する事態の一つは食い止めることが出来るだろう…という読みが源三郎にはあったのではないかと思います。

 それを物の見事に粉砕したのが、誰あろう自分の娘である弥生というこの事実…ま、これも源三郎の因果ということなのかもしれません。

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★PSP版弥生には「ポンコツ探偵」の称号を授与★

 弥生は小次郎たちを救う為にディーブに向かって「警察に知らせた」と啖呵を切りますが、外国の軍情報部残党のディーブにとって日本の警察などというものが毛ほどの脅威にもならないということがまず理解出来ておらず、その上で「”彼女”は所轄警察の伊吹に保護して貰ったのでもう無駄だぞ」と脅しをかけたのが超マイナス。ディーブからすれば今から所轄署を襲撃してプリシアの身柄を奪還すれば良いということが判明したわけで、相手の欲しかった情報を勝手に知らせてしまったという大チョンボをかましたしまったことに、残念ながら当の弥生は気付いておりません。そしてこの情報を知らせてしまったことで、ディーブとしてはもう小次郎を生かして情報を聞き出す必要もなくなりましたから、弥生の言葉が小次郎と弥生自身の死刑執行書にサインをしてしまったことにもなるわけです。同時に上に書いたような源三郎の淡い期待も粉砕されてしまい、流石の源三郎もオーマイゴッドと天を仰ぎたくなるような気分になったのではないでしょうか。

 しかしこれらの全てが弥生のポンコツによって引き起こされたわけではなく、この事態を引き起こしたのは誰あろう源三郎自身でもあり、エルディアでの過去と責務から逃げるようにして日本で平和な生活を送っていたことのツケが回って来たのもまた事実。弥生のポンコツを嘆く以上に自分自身の過去に愛娘と愛弟子を巻き込んでしまったことへの悔恨の念の方がよほど堪えたのではないか…源三郎という人物に想いを馳せればそのような解釈が出来ます。これはポンコツ探偵・弥生の暴走を目の当たりにしてしまうPSP版ならではの展開でして、この後の源三郎の心境という点で原作とはまた違った解釈も出来るポイントかもしれません。

・小次郎、弥生たちのピンチにまりなが突撃。シリアが電源を落としたことで辺りは真っ暗に。ディーブ配下らには蛍光塗料が塗られていたので真っ暗闇の中でも源三郎とシリアは敵を正確に撃ち抜いている。まりなもそれに気付き敵をばきゅーん。

 弥生の失言によりいよいよピンチになった小次郎たちを前にして、ついに源三郎とまりなが突撃。しかしそこは流石に旧情報部の実行部隊長。少数が多勢を相手にするための準備はシリアがばっちり整えます。暗闇で相手の同士討ちを誘いつつ、こちらは正確に敵を判断出来るように蛍光塗料のペイント弾も用意…といった描写が入りディーブ達を襲撃することに成功。源三郎は小次郎達を救出し、まりなは逃亡するディーブを追跡します。

・ディーブ、状況の不利を悟って逃亡。まりなは源三郎から車のキーを受け取り、逃亡するディーブを追跡。
・カーチェイスで発砲した結果、ディーブの車はクラッシュして炎上。事件の首謀者を生け捕りに出来ずに落胆するまりな。


 原作ではこの後逆にディーブに捕まってしまいトリスタン船内に監禁されてしまいます。その後はアクアに助けられ、船内で縊り殺されているディーブの死体を発見するという流れになりますが、PSP版はここが大きく変更。原作をプレイしている御方はここで「ディーブの死体を発見していない」という展開に「あれ?」と思われるのではないでしょうか。ディーブの死体は、これまでと同じようにナイフで首を切断されるという凄惨なもの。それは同時に真弥子の中に宿る前国王の「裏切り者には死を」という強烈なメッセージ性も含むシーンでもあるわけで、物語が終盤に進んでいることを印象付けるかなりインパクトのあるシーンでもあるわけです。

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 その、ディーブの死に関しての描写をかなりあっさりと済ませてしまうPSP版の展開は、原作経験者に「これはディーブの終盤の設定も変わってるぞー」と思わせますが、結論から言えば予想はそのものズバリ。原作ではここで退場してしまうディーブですが、PSP版ではこのおかげで最後にもう一花咲かすシーンに恵まれることになりました。その結果、ちょっと原作よりも小悪党なイメージが強くなってしまうわけですが、その辺は終盤でまた触れることに致しましょう。

・一日の内に色々なことが起きて呆然としながらサンマンションに戻るまりな。示し合わせたわけでもないのにそこに源三郎が到着。

 原作ではまりなの部屋である403号室に源三郎が訪ねて来ますが、PSP版ではマンション前にてまりなの帰りを源三郎が待っています。勿論弥生のことがあるので源三郎は車内に身を隠しては居ますけどね。

 マンションで落ち合ったのは源三郎が弥生の父親であると既にまりなが気付いていたから、という説明が入ります。原作と違ってこの直前に弥生はディーブに捕まってピンチに陥っていますから、愛娘のことが気懸かりになってマンションの様子を窺いに来た…という感じでしょうか。恐らく原作の源三郎も同じような理由でマンションを訪れていたとは思います。原作ではこの直前にまりなはプリシアを保護した弥生と会いますので、源三郎はプリシアの所在安否確認という目的も兼ねていたのでしょう。ただ、弥生がポンコツになってより直裁に生命の危機に晒された分、源三郎の心配というか唯一の心残り、という点は強調されているような印象ですね。

 ちなみに源三郎が弥生の父親であるとまりなが気付いた理由としては、

(1)殺人事件の話をした時、二階堂の名前は新聞にも出ていなかったのに、源三郎は既に知っていたかのように二階堂の名前を出したから。
(2)しかし決定打はアジトで弥生の失態を見た時のがっかりを隠せなかった親馬鹿っぷりを見て。

 という説明が入ります。主に状況証拠からの推測と、弥生の部屋で見た写真を思い出して…という原作とは異なる点ですね。ついでに言えば原作で高所恐怖症と言いながら弥生の隣の部屋に入るのを渋る展開とは多少この辺の会話の内容もタイミングも異なっています。

・まりなの部屋で源三郎に幾つか質問するも、エルディアに関わったことがあるという事情以外を源三郎は語ろうとしない。言葉で語っても何も伝わらないことがあるが、言葉だけが思いを伝える方法ではない…という展開で源三郎と肌を重ねる。

 まりなと源三郎が肌を重ねるシーン。流れとしてはほぼ原作通りではありますが、な〜んかまりなが軽い感じ。おそらくはPSP版まりなのダメダメっぷりの影響でしょうか。原作に較べるとかなり状況に振り回されている感のあるPSP版まりなですが、それはつまりこの一連の事件に於ける自分自身のポジションとか目的みたいなものもかなりふわっとしていることにも繋がっているような気はするんですよね。

 源三郎とのシーンも「あ、この人私の敵じゃないんだー」という流れの延長のような印象で、「自分の膝を抱いて『私だけは貴女を分かってあげられる』と自分自身に言い聞かせる」といった言葉に共感しあえる、淋しい者同士の邂逅といった意味合いはあまり見受けられません。相対的にはまりなのイメージがダウンしちゃってるという、ちょっと残念な変更点でもあります。

・学校は既に焼失しているので原作のようなプールサイドでのシーンは無いが基本の流れは同じ。

 その後の睦言的な流れはほぼ同じ。「アナタの奥さんになって〜」とアレコレと楽しい話を紡ぎ出しはしますが、幸福な未来に胸をときめかせるような温かいシーンでは決してなく、結局は朝が来れば互いが互いの意思のために、また肌を重ねる前までの自分たちに戻ってしまうというスパイ稼業の哀しさと業の深さをしみじみと感じ取れるシーンだと個人的には思います。

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 PSP版では外国人学校は既に雪乃との対峙シーンで焼失しちゃってますので、原作のようなプールサイドでのワンシーンでは無くなっていますが、唐突に夜中のプールに行く原作の方が「?」な印象でしたからね。あれはやっぱり水着での18禁CGとか水中ゑっちシーンを描きたかったんでしょうか…

……

 まりな編はこの後いよいよ運命の舞台、トリスタン号…じゃなくてV.S号へと舞台を移します。ダメダメ捜査官まりなとポンコツ探偵弥生の活躍ばかりが目立っているPSP版ですが、物語はいったいどのように収束していくのでしょうか。

 で、その前に次回は、12月8日小次郎編の残り、ディーブのアジト救出後をレビュー致します。夜の埠頭での師弟の会話や麻薬の禁断症状でゴリラみたいに暴れ回る小次郎の姿が拝めちゃいます。物語もいよいよ佳境。この二年越しの苦行のようなレビューもいよいよ佳境。期待せずにお待ち下さいませ。
posted by talk at 04:22| Comment(0) | 【PSP】burst error EVE the 1st | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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