2007年04月11日

名前が出たところで…

 先月に発覚した西武の裏金・金銭授受問題ですが、今日になって横浜の那須野投手が実名で5億円近い金銭を受け取っていたという報道がされました。

 この場合、横浜ベイスターズと那須野個人の間で締結される契約ですので、100円だろうが10億だろうが両者が納得すれば契約は成立するわけですが、そうは言っても上限を設けないと結局マネーゲームになっちゃうということで、野球協約では「最高標準額1億円プラス出来高5000万円」を上限にしようと言うルールが設けられています。にも関わらずそれを大幅に超過する金銭を渡していたんですよということになりますね。

 みんなで決めたルールを守らないという意味では道義的な問題が生じるわけですが、一方で他者よりも有利な条件を出して契約を締結させようとする姿勢そのものは資本主義の原理では否定されるべきものでもなく、当然その場合に生じるリスクなんかも全て承知の上でという但し書きもついてきます。ぶっちゃけて言えば横浜は那須野という投手に5億円を支払ったことがトータルとして得か損かという話にもなるわけで、将来的に彼が松坂クラスの投手となれば「5億出して正解だった」となるわけですし、勿論故障や不調で全く結果が出せなければ「5億は無駄になった」という結論に達するわけです。

 この辺、おそらく人によって捉え方が違ってくるはずで、「全くけしからん!ルールも守らずに金に物を言わせて!」と怒る人もいれば、「いや、他者との競合を考えれば当然でしょ」と肯定する人もいるでしょうし、「そんなのコイツ一人の問題なわけないし」と半ばの諦めで納得する人もいるはず。この辺はほじくり返したところであまり意味がないような気もします。前述の通り性質上真っ向から否定できる類のものでもありませんからねえ。

 ところが今回の報道の大きな点は、西武の時は渡した側(=プロ球団側)が完全な悪者という論調であったのに対し、今回は受け取った側(=アマ側)にかなりの問題有りという論調になっているのが特徴です。那須野の件で言えば、当時彼が在籍していた日大野球部の鈴木監督が横浜球団に多額の謝礼金を要求していたことが報じられていまして、これまで一方的にプロを糾弾していたアマ側にもついに(というか当然というか)飛び火した形になります。

 スポーツ選手、とりわけプロ野球絡みになると決まって出て来るのがこういう「ドラフトゴロ」ですな。野球部の監督、勝手に代理人を名乗る親戚等々。生徒や親戚の一人に億単位の金が見込めると判断した途端、本来球団と選手間だけで成立するはずの契約にこういった第三者が勝手に仲介に入ってマージンをくすねる輩がどうしても存在してます。つまるところ各球団の企業モラルと選手個人のモラルだけで解決する話でもなく、アマチュアも含めた厳しい取り締まりとルール作成が課題になるのではないでしょうか。

 となると、実質的にはアマチュア側の焦土化に繋がるのかもしれませんが、それくらいのことをしない限りはなかなか綺麗な状態にはならないと思うのですよ。現状、こういう話はやはりどうしても力のある渡す側=球団側の責任と問題という部分に話が終始しますが、それと同じくらいに受け取る側=アマ側の旧態な利権体制にもメスを入れる必要はあるんでしょう。

 プロ野球の球団機構というものは、それなりに規模の大きい企業が集まっているわけですから、実のところこういう場合のコンプライアンス姿勢というものはそれなりに一定水準に達しているとは思うのですが(※ただしそれを皆が納得する形で実践するかどうかは別の話。企業間の思惑も絡みますし)、翻ってアマ側となるとこの辺の徹底は難しそうで、極論すると高校球児の親とかにもそれを求めて行く必要も出て来るかもしれませんからね。

 ま、何やら根深い、汚い問題がこれからも色々と明るみに出るのかもしれませんが、ある意味では良い機会と捉えて良い方向に転じるように努力して欲しいものです。今回からはその姿勢をプロだけじゃなくてアマ側にも求めて行きたいということですかね。
posted by talk at 00:00| Comment(2) | 野球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
モーニングを愛読しているのだが、連載中の漫画で「実録!関東昭和軍」というのがある。
普段われわれが「聖地 甲子園」感覚で見ている高校野球の裏側を率直(ある意味誇張もあるんだろうけど)に描いてて面白い
某喫煙投手も「ダルビッチョ」として登場したり
野球界って昔からそういう世界やからなぁ
今まで触れなかっただけでって気もするな

逆にこういう話題で注目浴びてるほうが話題性の無い野球界にとってはむしろ吉なんかなと思えてくるあたり昨今の野球人気の低下を考えてしまうね
Posted by fumarsa at 2007年04月12日 12:28
>今まで触れなかっただけでって気もするな

 球界に限らず、最近はこのテの暗黙で了解されている「業界の常識」が白日の下に曝されてるって事件が多いですな。モラルとかコンプライアンス意識の無さを外部視点から指摘って面もある一方で、マスコミ・大衆の為に各業界が貧乏くじを持ち回りで引いてるような気もするのよねー。結局双方がその点を知ってるもんだから、一過性の騒動と決め込んでお決まりの常套句と対応で済ませつつ、熱が冷めるのを待って他の業界に貧乏くじが回っているのを待ってるだけのような気もします。我が事の教訓とか他山の石にするとか、そういう意識っていうのが特に球界に関してはなかなか見られた試しがないというのは凄く残念なことですよ。
Posted by talk(管理人) at 2007年04月14日 05:22
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